行橋駅
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日本の建築界が何か大きく勘違いしていた時代を象徴するかのような駅舎.

私たちが建築や都市を保守する思想を失い、
石、ステンレス、チタンを多用して、
メンテナンスフリーをうたいながら硬質化してゆく.
それに反して、デザインは思いつきで軽薄で、
時代を超えてゆくことが出来ない.

高価な材料が安っぽいデザインを定着させて、
見るに耐えない建築が遺跡のように残ってしまった.

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1960年代以降、まちのなかにある広場が駆逐されていく.

装飾過剰で脈絡のない芸術まがいのオブジェ達が、
賑々しく広場を埋め尽くして、
主役であるはずの人間を排除している.

墓石のような御影や金属ではなくて、

ここに、大きな数本の木とその木陰と草花たちがあったら、
土が匂い、花が香り、虫が舞い、そして秋風がそよいでいたら、
どんなにうれしいだろう.

記憶の中の、木造の駅舎を懐かしんでいる.
私たちの都市が失いつつある豊穣なものに想いを馳せている.
by yoshiaki_works | 2010-09-13 13:18 | 建築


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