松田和也さんがデザインしたマンション平和の一室を見学しました.
松田さんの作品を見ていつも思うのは、視点(立ち位置)を明確にして
デザインがなされていること.
既存プランでは個室になっていた部分をダイニングにして、
リビングとキッチンとダイニングの関係を変換し、
キッチンを明るく、キッチンに立ったときのシーンを豊かにしている.
そして、松田さんのかたちと色彩についての感覚が優れていると感じる.
部屋を彩るいく通りものブルーが繊細で、家具や床の木質と調和している.
心地よいインテリアでした.
このマンション平和は、私の建築の師である柴田弘光が40年ほど前に
設計した集合住宅です.柴田さんの代表作と言ってよいと思います.
マンション平和の実施設計中に北欧旅行した柴田さんは、日本に戻ると、
進んでいたそれまでの設計を全て捨てて、一から基本設計をやり直しました.
まっすぐに貫通する中廊下に、45度に振れた住戸が空隙をもって接続しています.
中廊下は明るく、住戸のエントランスまわりは豊かな空間です.
住戸内も、扁平柱と扁平梁によって、明るい居住空間を実現し、
住棟全体も敷地の傾斜を利用して、単調ではなく変化に富んでいます.
年を経た骨太のスケルトンと更新された繊細なインフィルの幸福な結婚です.