武雄市図書館
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大雨洪水警報発令中の雨の日曜日、最近話題の武雄市図書館を訪れた。
公共の図書館として、賛否両論あるのは聞いていた。

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図書館の駐車場は満車で、道路向かいの商業施設の屋上に車を停めて、
たこ焼きと手巻き寿司を買って、図書館まで歩いていった。

向かいの商業施設よりも図書館のほうが、来客の人口密度が高い。
館内の席はカフェも含めて満席で、外のデッキチェアーに腰掛けて、たこ焼きを頬張った。
7億5千万円かけて、100㎡程度増築し、書庫面積を1.4倍にしたそうだ。
10年前にできた既存の建物も非常によくできた建築だったのだろう。
既存の空間の魅力を活かしながら増幅した演出は成功していると思う。
2階のギャラリーと背の高い書庫が見せ場かな。
木造の傾斜屋根に沿って、見る見られる関係がよい。
メイン空間のうしろにある学習室もすべて満席で、
カフェは外部に増築した方がよかったくらい、賑わっている。

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今まで、私は伊万里と苅田のふたつの図書館が好きだった。
伊万里と苅田は同じ建築家の仕事だが、どちらもここちよい場所がふんだんにあった。
しかし、館内の空気は静かで、少し厳かで、従来の公共建築の枠内にあったし、
建築的にも力強い空間というわけではなかった。

武雄はもとの建築が、周辺地形を意識し、かつ配慮した強い構成をもっており、
内部は素材感に優れたダイナミズムを有していた。
そこに活力ある民間のオペレーションを前提にしたデザインが補強されて、
これほどのにぎわいが実現しているということなのだろうか。

私たちはコミュニケーションを求めている。
知識や芸術や音楽を介した、人と人との、あるいは地域や社会との、
それぞれの体温が違うように、多様なコミュニケーションを求めている。
それは物理的、静的な環境によってではなく、動的なオペレーションと
空間がシンクロナイズすることによって初めて実現する。

コミュニケーションをつくり出す場となることが公共建築の使命である。
公と民との境界をあいまいにして、公の本来的な意味を問い直し、
公共空間を活性化する武雄市図書館をおもしろいと思った。
by yoshiaki_works | 2013-08-26 12:35 | 建築


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