人吉駅前の国宝指定という幟に惹かれて、青井阿蘇神社に寄った。
これは境内の母子。
この子の親父は何かをアピールしながら、近くを走り回っていた。
楼門の前に司馬遼太郎の『街道を行く・3』文章がある。
人吉盆地が豊かな穀倉地帯であり、古代より安定した経済圏がここに存在したことを指摘している。
土木技術が発展した近世以降、広大な水田が大河の下流に開かれた。しかし、稲作技術が渡来し、最所に開かれた水田は全て、高いところの盆地にある。古代の政治権力は海辺や川辺にではなく、もっと高いところにある。乾期と雨季を必要とする稲作は、水の流入と排水をコントロールする水利を前提にしている。未発達の土木技術で水をコントロールするためには、飛鳥盆地や人吉盆地などの地形が最適だったのだろう。沼地でしょっちゅう洪水を起こす大平野が開拓されるのはすっと時代が下ってからだそうだ。
ともあれ、青井神社の楼門と拝殿と幣殿は茅葺のいかにも骨太の建築である。
桃山様式だと解説されているが、もっと素朴な印象を与える。
人吉市役所の前に「元湯」という温泉があって、入浴料200円。
シャワーは無い。
少し熱いが、炭酸を多く含んだ透明なぬるっとしたお湯が掛け流されている。
毎日3時にお湯を落として掃除をする。
お客はほとんど地元のお年寄り。
建物も好感が持てる開放的なふつうの立ち寄り温泉です。
番台のおばさんが飲用にお湯を分けてくれました。